久しぶりの分析:リーグHジークスター東京vs福井永平寺ブルーサンダー

リーグH2024-2025

このところなかなか時間が取れず、隙間時間で何とかリーグHの試合動画を見ているものの、分析するほどの時間を取れず久々の分析。(日本選手権の決勝はデータ入力までは終わっているものの詳細分析はできずじまいという中途半端な状態になりそう、、、)
年末~年度末はバタバタしているのであまりハンドボールに時間が割けないのが悔しい、、、

スケジュールに空きができてきたので、分析にも時間を割きつつ試合を見ることができているのですが、首位をひた走ってきていたジークスターの勝敗についての関心が高い今日この頃です。

直近の数試合を見てもこの福井永平寺線では予想外のジャイアントキリングをされちゃったり、直後の大崎オーソル戦では決して相性の良くない相手にも関わらず勝ち切って復調してたり、5/6にはブレイブキングスとの大一番を控えていたり。

今回は惜しくも敗戦してしまった福井永平寺ブルーサンダーとの試合を分析してみようと思います。

ジークスターにとって痛い敗戦であったことが分かるデータ

シュート全体に関するデータを見てみると、ジークスターの方が枠内シュートを8本多く打てていることがわかります。これを得点という結果につなげられていればこの試合の勝者はジークスターだったと思われます。もったいない。

シュートシーン別に見てみると、ジークスターのシュートはディスタンスは18本中10得点の55.5%と高くもなく低くもなくまずまずの得点数&得点率となっているのに、ブレイクスルー、ピヴォット、ウィングの得点率が低くなってしまっていました。

一方で福井永平寺ブルーサンダーのディスタンスをブロック本数6本というDF陣の貢献もあり18本中10得点の33.3%に抑えられており、この点はセオリー通りだったように見受けられます。

ジークスターの敗因を深掘り

GKの差は否めない

この試合でジークスターが痛かったのは、今シーズン絶好調の岩下選手がコンディション不良により欠場していたことでした。
福井永平寺ブルーサンダーのGK境選手が大活躍しているのに対して、ジークスターのGK陣は選手交代をしながら総力で対抗するものの、及第点とは言えない結果になっていたのではないでしょうか。

ブルーサンダーGKのセーブ率(セーブ数/枠内シュート)は47.4%とGKの活躍だけで試合を決定づけるような結果でした。

一方でジークスターGKのセーブ率は24.1%とやや物足りない結果となっています。

さらに細かくエリア別、シュート種別のセーブ率を見てみると、ほとんどのエリア、シュート種別で赤で示したジークスターGK陣のセーブ率よりも青で示したブルーサンダーのGK陣の方がセーブ率が高いといった結果になっていました。

GKとの1対1のシーンでの決定力不足が課題か

セットオフェンスでGKとの1対1のシチュエーションの決定率が低く、この試合で勝敗を分けたポイントになっていました。
この裏付けとなるデータを見ていきます。

両チームのOFデータを比較してみると、ジークスターのセットOFの決定率が低くなっていることがわかります。
別の試合の分析でも同じ説明をしていますが、セットOFはハンドボールの試合の中で最も本数が多くなるOF機会であるため、数%であったとしてもセットOFの決定率に差があると、この差が得点差に大きく影響します。

この決定率の差について、どういった原因があるのかについてより詳細なデータを見てみようと思います。
上の画像はセットOFに限定して集計したOFの詳細データになります。
このデータを見てみると、ジークスターは速攻やリスタートの本数がブルーサンダーよりも多いこともあり、セットプレーでのOF機会が27回とブルーサンダーよりも少なくなっています。
しかし、枠内シュートの本数はブルーサンダーと同じ22本となっており、枠内シュート率はジークスターの方が高くなっていることがわかります。

このことから、セットOFでの決定率の低さの原因はDFのプレッシャー等により枠外にシュートを打ったり、DFにブロックされているといったわけではなく、「枠内に打ったシュートが得点につながっていない」ことにあるようです。

ここでもやはりブルーサンダーGK、境選手のセービングが壁として立ちはだかっていたことがわかりますね。

より具体的に原因となっているポイントを探るため、ジークスターのセットOFのエリア別、シュートシーン別のデータを見てみようと思います。

このデータからは、RB側の45度の位置からのブレイクスルー、ピヴォット、ウイングのシュートの得点率が低くなっていることがわかります。

リーグH最初の王者を目指すジークスターとしては、この隙を突かれてブルーサンダーによるジャイアントキリングを許し、守り続けてきた首位の座をブレイヴキングスに譲ることとなりました。
初代王者を決めるプレーオフは1発勝負であり、リーグ戦を首位で終えることはプレーオフでの勝率を上げるために欠かせない条件となります。

5月6日のブレイヴキングスとの大一番ではシュート阻止率1位の岩下選手も復帰しており、このブルーサンダー戦のようにGKセーブ率に大きな差が生まれることは考えにくいと思われます。
両チームともGKのレベルが高く、締まりのあるゲーム展開となることが予想され、あとはどちらのOFが相手GKをねじ伏せるのか、といった試合になりそうです。

リーグ終盤の大一番、今からもう楽しみですね、、、!