JHL2023-24 トヨタ自動車東日本レガロッソ 対 トヨタ車体ブレイヴキングス 分析

トヨタ車体ブレイヴキングス

トヨタ自動車東日本レガロッソ 対 トヨタ車体ブレイヴキングスの試合を分析しました。

今回もレガロッソのデータが特徴的でした。分析し甲斐のあるチームでデータを見るのが楽しいですね。

前半15分までの展開

レガロッソOFがミス率40%なのに1点差の理由

試合序盤、入力しながら観戦している印象としてレガロッソのOF はすごくOFミスが多いのですが、前半15分時点で8対9の1点差負けと想定していたほどに点差が離れていません。
スタッツを見たところ、ブレイヴキングスのGKセーブ率が0%になっていてはじめは「入力間違いか集計漏れかな?」と思ったのですが、レガロッソが本当にゴールに到達したフィールドシュート※はすべて得点しているんですよね。(※フィールドシュート9本中8得点1被ブロック)
しかし一方でOF回数15回中6回のOF機会でボールロストしており、40%のOFミス率という極端なデータになっています。

この時点のレガロッソの得点内訳をみると8得点中6点はディスタンスシュートとなっています。
以下の画像が前半15分時点のスタッツです。

枠内シュートはすべて得点されている状況だったため、キーパー交代は一つの正しい判断だったと思われます。采配が早いですね。
交代で入ったブレイヴキングスのGK岡本選手は交代直後のディスタンスシュートを止めたかったところですが、レガロッソの藤川選手に決められてしまい流れを断ち切れず、前半はそのままズルズルと展開していった印象です。

ブレイヴキングスDFとしては前半15分まででせめてディスタンスシュートを1本か2本防げていれば序盤の試合運びがもう少し楽になったはずです。

両チームGKのセーブ率

この試合で目立ったデータとして、時間帯別で見る両チームGKのセーブ率が挙げられます。
試合終了時の最終的なセーブ率としてはレガロッソ 34.1%、ブレイヴキングス 32.1%と大きな差がありません。
しかし前半終了時点の両チームのセーブ率を見るとレガロッソ 33.3%、ブレイヴキングス 18.8%とブレイヴキングスのセーブ率が低くなっており、ここでも前半15分までのセーブ率0%が響いているのが分かります。一方で後半30分のみに限定するとブレイヴキングスGKのセーブ率は50%とかなり高くなっていました。

このあたり、レガロッソGK関口選手のベテランならではの安定感と、ブレイヴキングスGK加藤選手の爆発力が数値に出たと言えるかもしれません。

今回のブレイヴキングスGKに注目すると試合トータルでは一定のセーブ率となっていても、この試合の前半のように一部時間帯で著しくセーブ率が低いと試合のペースをつかめず、本来は主導権を握って優位なゲーム運びをしたい下位チームの相手に対しても今回のように終盤まで接戦で消耗しきってなんとか勝利する、という展開になってしまうこともあります。
プレーオフの連戦を見据えると、ブレイヴキングスとしては試合序盤の低いセーブ率について原因がGKにあるのか、DFとの連携にあるのか明確にして修正する必要がありそうです。

両チームLBの活躍の違い

レガロッソのLB藤川選手、ブレイヴキングスのLB吉野選手のデータも大きく異なっています。
得点だけを見ると藤川選手が10得点、吉野選手が8得点と大きな差はない印象ですが、藤川選手はシュート12本中10得点(得点率83.3%)、吉野選手はシュート16本中8得点(得点率50%)とプレーの質として大きな差があることがわかるかと思います。

両選手ともにPTでの得点もあるため、フィールドゴールのみに限定するとさらにその差が明らかになってきます。

藤川選手のフィールドシュートのデータ

ディスタンス:5/7 得点率71.4%
フィールドシュート全体:5/7 得点率71.4%(フィールドシュートはディスタンスのみ)

吉野選手のフィールドシュートのデータ

ディスタンス:1/8 得点率12.5%
ブレイクスルー:3/4 得点率75%
その他(リバウンドなど):1/1 得点率100%
フィールドシュート全体:5/13 得点率38.5%

以上を比較すると、藤川選手はディスタンスシュートを高い得点率で打てていることがわかります。
一方、吉野選手はフィールドゴールだけ見ると得点率38.5%とプレーオフ圏内のチームのエースとしては物足りない結果になっています。ここまで吉野選手が抑えられた試合も珍しいかもしれません。

さらに吉野選手のディタンスシュートにフォーカスすると、シュート数8本に対して1得点と完封といっても良い出来になっています。これはレガロッソGK関口選手の好セーブはもちろん、枠外シュート2本となっていることからもDFがしっかりとプレッシャーをかけられていた結果が表れていると取れます。レガロッソDFの獲得フリースロー数も17となっていることからも、アグレッシブなDFが功を奏したことが分かります。

9m外からの得点からみる両チームの違い

次に、9m外からの得点データの違いから、この試合のそれぞれのチームのOF特徴を見ていきます。

ブレイヴキングス

レガロッソの2:4DFが機能していたからなのか、ブレイヴキングスの9m外からの得点は少なくなっています。
ブレイヴキングスの9m外からの得点:3/12 得点率25%

高い位置にプレッシャーをかけられているということは9m内のDFが手薄になっていることでもあります。それを示しているのか、9m内の得点割合が増えています。9m内のDF中央(ウイング以外)からの得点は22点と実に得点全体の73.3%を占めています。
22得点の詳細内訳は以下の通りです。

9m内の得点全体

22/31 得点率71%

セットOF

ディスタンス:3/5
ブレイクスルー:8/11
ピヴォット:7/9
その他(リバウンドなど):2/2

速攻OF

ワンマン速攻:1/1
角度の広いウィング:1/1

以上から高く出てくるDFに対して9m内でシュートチャンスを作っていることが分かりますね。高めのプレッシャーを受けてミスにつながるとレガロッソの思惑通り、といったところですがOFミス数も試合を通じて9(前半3、後半6)と特筆するほどの多さではありませんでした。

レガロッソ

試合を通じてみると9m外からの得点は7点となっていますが、前半・後半の詳細内訳を見ると以下の通りになっています。
前半のみ:6/7 得点率85.7%
後半のみ:1/5 得点率20%

後半にかけてブレイヴキングスDFとGKが対応してきていることが分かります。
9m内の得点としては前半5点、後半6点とデータからもブレイヴキングスのDFを崩すことができていませんでした。
相手が対応してくるまでは同じ戦術で得点を取り続けることに問題はありませんが、9m外からの得点が取れなくなった際のオプションが欲しいところですね。