久しぶりに試合を分析しました。
今回は琉球コラソン対ジークスター東京の試合を分析することにしました。シーズンも残り少ないのでこれからの分析はプレーオフに絡みそうなチーム中心に分析する予定です。
ツールの再開発中もちょこちょこと試合観戦はしていたのですが、分析は一切していなかったので、本当に久しぶりの分析です。以下、スタッツの特徴など解説していきます。
全体のスタッツ
琉球コラソンOF
JHLの試合をまんべんなく観戦できているわけではなく、結構見る試合に偏りがあるので、今シーズンの琉球コラソンの試合を見るのは初めてでした。そのため戦略なのかまでは分からなかったのですが、この試合では確率の低いところで勝負させられているな、という印象でした。チーム内得点ランキングでもRBの髙橋選手が1位のようなので、今年の琉球コラソンはバックプレイヤーによるOF主体の戦略ともとれるのですが、ひとまずこの試合から見えてくることを書いてみました。
2mの壁はやはり高かった?
ジークスター東京のDFは中央に玉川選手と部井久選手というリーグ屈指の高身長を誇る選手を配置しています。ジークスター東京に対し比較的身長の低い選手の多いコラソンがディスタンスシュートを打つ場合にはDFを崩してたり、DFの間からシュートを狙うことが重要になります。
しかしこの試合ではコラソンのシュートがブロックされた本数は5本、一方でジークスターは3本とコラソンの方が多く、これはDFの正面でディスタンスシュート打っていることの結果が現れていると考えられます。シュート本数全体を見てもディスタンスシュートは19本中3得点と16%程度の得点率になっているので、こういったデータをもとに戦略を立てていれば、試合終盤の追い付けるかどうかの重要な場面で東江選手、佐藤草太選手と立て続けにディスタンスシュートを選択することはなかったのかな、と思います。
数字に表れるフィジカルの差
全体的にDFとしてジークスターが対格差を活かしたDFができていた印象ですが、それを裏付けるポイントとして、ディスタンスシュートの決定率の低さと併せてPVのシュート本数の少なさ・フリースロー獲得数の差が挙げられます。
この試合、琉球コラソンのPVによるシュートは0本で、PTを獲得したプレーが一つありましたがほとんどPVを活かしたOFができていませんでした。これはディスタンスシュートを19本中3得点と約16%におさえておきながら、PVを空けずに守れていたことを指しています。6m~9m間のスペースを空けずに体格差を活かしてブロックとGKの連携でうまく守っていたことが窺えます。
さらにフリースロー獲得数を見ると、ジークスター東京が25本、琉球コラソンが16本と10本近く多くフリースローを取っています。ディスタンスシュートが多くなっているのも、フェイントやPVなどの9m内のプレーはそのフィジカルの差からフリースローで止められてしまい、接触のないディスタンスを選択せざるを得ないといった状況だったのかもしれません。(試合終盤に東江選手がディスタンスを選択したのもそういった理由からなのかもしれませんね)
体格差のあるチームに対して、自分たちのセオリー通り攻められないと言う事は十分にあり得るかと思いますので、その際にどのようなオプションを用意しておき戦術を変えていくか、どのようにDFを崩していくかというところが今回の反省点と言えるかもしれません
ジークスター東京OF
RWのシュート機会の少なさ
この試合の特徴として、ジークスター東京のRWのシュートがほとんどありませんでした。DFが崩れた際の広い角度のシュートは2本ほどありましたが、パス回しでずらしてRWまで運ぶようなシュートは1本もありませんでした。
これはRBの選手のプレースタイルも影響したように思います。この試合では東長濱選手よりも中村翼選手のプレイタイムが長かったのですが、中村選手はパスを受けるとイン側に運ぶことが多い選手であるため、RWまでパス回しするシーンが少なく、結果としてRWの選手のシュート機会が少なくなっていると考えられます。その他の試合で東長濱選手がRBとして長く出場している場合の傾向と比較してみたいと思いますが、元木選手・柴山選手という得点力のあるRWを擁しながら、2人合わせて7点(元木選手4/4、柴山選手3/3)というのはちょっと物足りない気がします。しかし2人ともシュート機会が少ない中で決定率100%なのはさすがですね、、、
ディスタンスシュートの決定率
ジークスターもディスタンス(9m外からのシュート)は12本打って2得点と、実はディスタンスではあまり得点できていません。
東江選手とアダム選手、中村選手のバックプレイヤー3名でディスタンス12本中10本を打っているのですが、内訳としては東江選手が4本0得点(うち3本が枠外)、アダム選手が4本0得点(うち2本が枠外)、中村選手が2本0得点(うち1本が枠外)となっています。
もちろん琉球コラソンDFのプレッシャーあっての結果ではありますが、この試合はバックプレイヤーのディスタンスシュートの決定率、特に枠外シュートの多さは課題だったかもしれません。
東江選手とアダム選手、中村選手のバックプレイヤー3名のシュート種別、エリア別の打ち分けは以下画像の通りです。
この試合の分析はこれくらいにして、次の試合を分析してみようと思います。試合分析はあくまでも趣味なので、結構仮説多めです。
分析を専門として仕事にするのであれば、試合結果のスタッツから見える仮説をもとに、詳細分析するポイントを絞ってキーとなる選手やプレーを分析したり、ポイントとなる動画資料を作ることもできます。
上位カテゴリであればあるほど、数字をエビデンスにした説得力のあるチーム方針は必須と思われるので、JHLの各チームはそれぞれがもっと精緻な分析をしているのだろうと思います。
アップデート後の分析ツールを使ってみて
アップデート以前のツールよりも記録できる情報は増えたにも関わらず、入力の利便性は向上していることを実感できました。
分析ツールアップデートの検証を兼ねての分析だったので、ちょこちょこ見つかる設定漏れを都度修正しながらの入力はなかなか大変でした・・・。実際に、試合の翌日には入力終わっていたにも関わらず、集計のバグというか、想定外の設定となっている点など一通り直していたら投稿が遅れてしまいました。
今後も分析する中でバグなど探しつつ、ツールを運用していこうと思います。