ハンドボール分析ツール(Ver.2)の説明 

自己紹介

この記事では大学チームのコーチ時代に開発し、現在も継続して改良・改修しているハンドボール分析ツールを紹介します。ツール開発の背景についてはこのブログについての記事をご一読ください。

※この記事はハンドボール分析ツールの改修を行い次第、更新(リライト)していきます。
 ツールに大幅なバージョンアップがあった場合にはバージョンの数値を上げて別途記事を作成します。
 最新バージョンのハンドボール分析ツールに関する情報は「分析ツール」のカテゴリから最新記事をご確認ください。

分析ツールの概要

このツールは試合を定量的に分析するためのツールです。Excel形式で作成されており、オフライン環境での運用が可能となっています。

分析時には選手ごとに下記の項目を入力することで、自動で項目を組み合わせて集計し、様々な形で数値化しています。
1.OFの種別(速攻・セットOF 他)
2.OFエリアの種別(9m内5分割、9m外3分割)
3.シュートシーンの種別(ディスタンス・ウイング等●種類に分類)
4.結果(シュート成否の他にOFミスやPTも記録)

分析により得られる情報はこの記事の「ケーススタディ」の項目に掲載する画像を見てもらうほうがわかりやすいかと思います。

使用方法

集計対象のプレー(主にシュートを打った際や7mPTなどの結果が生じた際に)「分析ツールの概要」の1~4で示した項目を入力します。集計にあたり細かい入力規則がありますが、入力用のフォームがあるので入力箇所を選択してクリックまたはタップすることで入力可能です。

実際の入力画面

入力画面の解説

ケーススタディ

このツールで何ができるのか、実際の分析結果をもとに説明します。画像は2022-2023シーズンのプレーオフ決勝カード トヨタ合成Blue Falcon 対 トヨタ車体BRAVE KINGSの試合を分析したデータです。以下の1~5はすべて自動で作成されます。

1.基本スタッツ
基本となる情報です。試合全体の数値に加え、選手別・エリア別の得点数/シュート本数の情報、GKセーブ率などを掲載しています。

2.エリアごとのシュート数と得点数を視覚的に示したデータ
「どのエリアでシュートを打たれているのか・得点されているのか」を視覚的に表したデータです。試合中など数字をじっくり見ることができない場合にも両チームの得点・シュート本数の分布を確認することができます。

3.【開発中】OF種別×シュート種別×結果の条件で集計したデータ
現在開発中の集計項目です。エリアごと、シュート種別ごとのシュート数と得点数を集計し、OF・DFの詳細な傾向を数値化しました2.の視覚的に表した資料で特徴的な分布となっているエリアを確認し、詳細な状況をこのデータから把握するといった使用方法を想定しています。

4.個人分析
選手個人の情報を集計したデータです。シュート種別、エリア別にシュートコースまで集計しています。GKにとってはこのデータから相手選手の癖などを読み取り、対策を練ることが可能です。スタッフ目線では、選手の持つ課題を可視化し、指導や育成の材料とすることができます。

5.おまけ:サムネイル
試合の分析終了後、自動的に以下のサムネイルが作られるようになっています。ブログのタイトル画像やSNS用に使用します。

分析ツールの限界と改善点

このツールは試合単位の分析を目的として作成されているため、1試合単位を超えた集計ができまないことが課題です。例えば、チームのシーズンを通じたデータの蓄積ができないといった点です。この課題を克服できれば、「優勝チームのシーズンを通したOF・DFの傾向」などもデータ化することができます。すでにJHLのHPなどで公開されている情報を利活用することで得点率などの大雑把なデータをとることはできるかもしれませんが、シュート種別やエリア別の傾向などといった細かいデータが取れれば面白そうだな、と考えているのでこの課題は別途データ蓄積用のツールを作成するなどして克服したいと考えています。